Error uploading image.
こちらをクリック
こちらをクリック
術後とがん治療におけるDVTリスク
深部静脈血栓症(DVT)は、手術後やがん治療中の患者さんにとって注意が必要な合併症の一つです。DVTは主に下肢の深部静脈に血栓が形成される状態で、これが肺に移動すると肺塞栓症(PE)を引き起こし、生命を脅かす可能性があります。
術後のDVTリスク
長時間の臥床
手術後は長時間の臥床により血流の停滞が生じやすくなります。
下肢の運動制限
運動制限により血栓形成のリスクが高まります。
高リスク手術
整形外科手術や大規模な外科手術後は、DVTの発生率が高いとされています。
がん治療におけるDVTリスク
がんによるリスク
がんそのものにより血液の凝固能が亢進し、DVTのリスクが高まります。特に、膵臓がん、胃がん、脳腫瘍、肺がん、卵巣がん、腎臓がんの患者さんでリスクが高いとされています。
治療によるリスク
出産・整形手術、化学療法、放射線療法などの治療もDVTリスクを高めます。また、中心静脈カテーテルの留置や長期の臥床もリスク要因となります。
DVTの主な症状
下肢の腫脹
疼痛や圧痛
皮膚の発赤や変色
触れると熱感がある
これらの症状が現れた場合、速やかに医療機関を受診することが重要です。
DVTの予防策:早期離床・運動
1
早期離床の重要性
可能な限り早期に歩行を開始することで、血流の停滞を防ぎます。
2
下肢の運動
ベッド上でも足首や足の指を動かすなど、下肢の運動を行うことが効果的です。
3
段階的な活動増加
患者さんの状態に応じて、徐々に活動量を増やしていきます。
DVTの予防策:弾性ストッキングとIPC
弾性ストッキング
下肢に適切な圧力をかけ、静脈血のうっ滞を減少させます。サイズや着用方法が重要で、医療モデル製品を医療スタッフの指導のもと正しく使用することが大切です。
間欠的空気圧迫法(IPC)
機械的に下肢を圧迫し、血流を促進します。特に手術中や術後早期の患者さんに有効です。使用中は定期的に皮膚の状態をチェックする必要があります。
DVTの予防策:抗凝固療法
低分子ヘパリン
手術前後の短期間で使用されることが多い抗凝固薬です。
ワルファリン
長期的な抗凝固療法に使用される薬剤です。定期的な血液検査が必要です。
直接経口抗凝固薬(DOAC)
新しいタイプの抗凝固薬で、定期的な血液検査が不要な場合があります。
抗凝固療法は医師の指示のもと、適切な薬剤を選択し、慎重に管理する必要があります。
DVT予防の重要性
DVTは適切な予防と早期発見により、重篤な合併症を防ぐことが可能です。手術やがん治療を受ける際には、医療チームと連携し、個々の患者さんのリスクに応じた予防策を徹底することが重要です。
定期的な評価と、必要に応じた予防法の調整を行うことで、DVTのリスクを最小限に抑えることができます。患者さん自身も症状に注意を払い、異常を感じたら速やかに医療スタッフに相談しましょう。